こんにちは、しするです。
先日、仕事を退職しました。介護の仕事をしていました。
結婚と同時に今の土地に引っ越してきた私は、友達もあまりおらず、知らない土地での新しい生活に漠然と不安を感じていました。
しかも、就職を決めて引っ越したものの、介護の仕事は初めてです。
職業訓練の一環として、介護の資格は取得していましたが、現場でどこまで通用するかもわかりません。
そして何より、他県から来た私は、その土地の言葉がわからないのです。
ご高齢の方は、基本的にご自分の出身地、もしくは長く住まれた土地の言葉を話されます。
地元にいる間は、利用者の方がいくら訛っておられても理解できたのですが、ここではそうはいきません。
最初に配属されたのは、社会参加を主目的とした大規模通所施設(デイサービス)でした。
『社会参加』を目的とした方たちが来られるわけですよ。
皆さんよく話されるわけですよ。
言葉の壁が立ちはだかるわけですよ!
特に、感情を表現する言葉に困りました。
利用者の方からは「今、あの人は○○になっている」という趣旨のことをいわれるのですが、肝心の部分が方言なのでぱっと理解できないのです。
(ちなみに、この問題は「方言カルタ」によってかなり改善されました)
ちょっと主旨から離れたので、タイトルの方へ戻りたいと思います。
仕事を通してたくさんのご高齢の方に接して感じたのは、
人の可能性は年齢によって失われるものではない
ということです。
私が働いていた通所施設は、元気な方(体が元気な認知症の方も含まれます)がたくさん利用されていました。
そこはかなり実験的な要素を含む施設で、利用者の方が『自分にできることに挑戦する』スタイルを構築していました。
ご高齢の方は、本当にいろいろなことができるのです。
料理、手芸、工作、畑仕事等々、長年培ってこられたスキルを山のように持っておられます。
「昔はよくやってたのよ~」とかおっしゃいながら、いろんなものを仕上げていかれます。
こちらが教えていただきたいことがたくさん!
さらに、通所施設を利用されるようになってから、新たな趣味を見つけて取り組まれる方もたくさんいらっしゃいました。(90代の方でも!)
もともと器用な方であれば、上達も早いです。
認知症の症状がある方でも、環境を整えることで可能になることがたくさんあります。
できなくなったところを、それぞれに補いあうことで完成するものもたくさんあります。
私が知らなかった世界が、そこにありました。
もし、結婚してすぐに家庭に入っていたら、知ることのなかった世界です。
たくさんの人生に触れました。
私が知らないこの土地のことを、たくさん教えていただきました。
たくさんの学びをいただきました。
笑顔と元気をいただきました。
何より、皆さんに大切にしていただきました。
職員のことを心配し、労わってくださる方がたくさんおられました。
名前を覚えていただけなくても、「あなたに会うのが楽しみで」と笑顔で言ってくださる方がおられました。
認知症で感情のコントロールが難しくなっても、時折戻ってくるその方のやさしさに触れることができました。
知らない土地に来た私に、新しい世界をくださいました。
今はその仕事から離れてしまいましたが、私がいただいた時間は大切な宝物です。
目に留めてくださった方に、感謝を込めて。
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